hold me, touch me.
2008/12/05
title:hold me, touch me.
author:秋さん

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ムウはまだ目を覚まさない。
だからオレはここにいる。



「紫龍―!紫龍―!」

貴鬼がオレを探している。
ハーデスとの戦いを終えたオレは、傷ついたムウと共にジャミールに戻っていた。

「紫龍、また眠らずにいるの?少しは休まなきゃ紫龍が倒れちゃうよ。
 そうなったらムウ様が目覚めた時に叱られるのはオイラなんだから、ちゃんと休んでよね。」

ムウのそばから離れないオレに、貴鬼は怒ったような呆れたような口調で話しながら隣にちょこんと座った。
ここに来てから、こう言われるのもすっかり日課になってしまった。

「大丈夫だよ貴鬼、オレは少しくらい眠らなくても。お前こそちゃんと休んでるかい?」

笑いながらそう言って頭をポンポンとなでると、貴鬼は諦めたように立ち上がり、

「紫龍もガンコなんだから…。じゃあオイラ食事の用意してくるけど、ほんとに無理しないでくれよ。」

そう言うと貴鬼は戻っていった。
ジャミールに戻るまでは何とか意識を保っていたムウだが、着いたとたん安心感からか、そのまま意識を失い眠り続けている。





ハーデスとの戦い、それは想像を絶する程激しいものだった。
嘆きの壁を打ち砕く際、黄金聖闘士達は消滅してしまったものと思っていた。
聖衣のみがその場に残されていた時は。

だけど戻ってきてくれた。
それでも傷ついた身体は想像を絶する程のダメージで。
ムウはまだ目を覚まさない。





オレがジャミールで七日間眠り続けていた時、この人はずっとそばにいてくれた。
目を覚ましてからも闘い続けるオレを、ムウはいつも守ってくれていた。
不思議だった。
ただ一度、聖衣の修復を頼む為に訪ねただけのオレを、どうして守ってくれるのか。
だけど同時にそれが嬉しくもあって。
この人が守ってくれるからオレは戦えた。

でも守られるだけじゃなく、オレも守ってあげたい。

一緒に、いたい。





ムウは目を覚まさない。
だからオレはここにいる。
眠り続けるムウのそばで。

ねぇムウ、今はゆっくり眠るといいよ。
だから目覚めた時は、真っ先にオレを抱きしめて―――。

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